「ストレスがわきがの原因になる」と聞いても、あまりピンとこないという方が多いでしょう。
わきがは遺伝的要素が強く体質に左右されるものなので、後天的要素であるストレスは関係ないというのが一般的な考え方です。
しかし、それまでなかったストレスを新たに抱え込んだことによって、わきがを発症してしまうという場合があるのです。
この記事では、ストレスが原因でわきがを発症してしまうメカニズムを詳しく説明するとともに、このようなストレスによるわきがを解消する方法についても述べています。
ストレスによるわきがが気になる、ストレスによるわきがの解消方法が知りたいという方はぜひ参考にしてください。
目次
ストレスがわきがを発生させる2つのメカニズム
ストレスがわきがを発生させる要因となるメカニズムは、「ストレス汗によるニオイの悪化」と「ストレスによるアポクリン汗腺の活発化」、の大きく2つに分けられます。
ここでは、これらのメカニズムについて詳しく説明することで、わきがとストレスの密接な関係についてより理解を深めていきましょう。
1.ストレス汗によりニオイを悪化させてしまう要因は?
人間のかく汗には「温熱性発汗」「味覚性発汗」「精神性発汗」の3種類があります。
1.温熱性発汗
暑いときにかく汗で、手のひらと足の裏以外の全身から出る。
2.味覚性発汗
辛いものやすっぱいものを食べたときに出る汗で、額や鼻などから出る。
3.精神性発汗
人前で緊張したときなどに出る汗で、「ストレス汗」とも呼ばれる。
脇や手のひら、足の裏などから出る。
上記の3種類の汗のうち、温熱性発汗と味覚性発汗による汗にはニオイがありませんが、精神性発汗による汗のみがニオイが発生します。
そのため、仕事や人間関係での緊張を強いられる場面で精神性発汗が起きると、その汗がニオイを発生させる要因となってしまうのです。
人間の汗腺には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類がありますが、ニオイのある汗を出すのは「アポクリン汗腺」のみです。
そして精神性発汗による汗は、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方から出るため、ニオイも強く出てしまいます。
2.ストレスが自律神経を刺激しアポクリン汗腺を活発化させてしまう
日本人の多くはアポクリン汗腺が退化しているため、ニオイもありません。
また、アポクリン汗腺の量や大きさは生まれつき決まっており、それがストレスによって変化することもありません。
問題はストレスによって自律神経が刺激を受けると、退化していたアポクリン汗腺を活発化させてしまうということなのです。
ストレスなどの刺激によって活発化したアポクリン汗腺はニオイの強い汗を出すようになります。
その結果、それまでわきがでないと思っていた人も実はわきがだったことに気づく、という場合があるのです。
わきがを気にすることでさらにストレスが貯まる悪循環
仕事や人間関係以外に考えられるストレス汗の原因として、「わきがによる精神的ストレス」というものがあります。
これは、自分のニオイを気にするあまり、それがストレスとなってさらなるわきがにつながってしまうという悪循環を引き起こしている状態です。
わきがの影響によって人と話すことが怖くなり、「あの人、わきがじゃない?」など陰で悪口を言われているのではないかという疑心暗鬼を抱きやすくなります。
その結果、そのような考え自体が重大なストレスとなり、さらなるわきが発生の要因となってしまうのです。
ストレスによるわきがを解消するには?
ストレスによるわきがを解消するには、ストレスを解消するとともに、ニオイを適切にコントロールしていくことも大切です。
ストレスの解消に最も大切なのは心と体の休養させることで、以下のような方法でストレスを軽減させる必要があります。
- 乱れた自律神経を整える
- 食事と体の休息
- 適度な運動をする
これらのストレスを減らす方法について下記で詳しく解説していきますが、結論から先に言ってしまえば、実はそういった解決策に即効性は期待できません。
ストレスと上手に付き合っていくには継続的な努力も必要ですし、自分の内面ともしっかり向き合っていく必要があるからです。
そのため、どうしても効果が出るまでに時間が掛かる傾向にあります。
そこで、ワキガに対して「はやくワキガを解消したい」「もっと効果的な予防・対策はないの?」という方は、下記の記事も一緒に参考にしてみてください。
わきがに対して、即効性のある効果的な対策方法について解説しています。
乱れた自律神経を整える
ニオイのある汗を出すアポクリン汗腺は、自律神経が刺激を受けることで活発化すると述べました。
そこで、自律神経を整えアポクリン汗腺の活発化を抑える方法として効果的なのが、入浴により体を温め気持ちをリラックスさせることです。
ストレッチやウォーキングなどの適度な運動、深呼吸なども、自律神経の乱れに効果があるうえ、働く人も日常生活に取り入れやすいものばかりです。
デスクワークで疲れを感じたらストレッチをしてみる、緊張を感じる場面で深呼吸をする、最寄り駅まで歩く、など無理なくできることから取り入れていくことで、少しずつでも自律神経の乱れを整えやすい生活にしていくとよいでしょう。
食事と体の休息
ストレスを解消するには、体の休息が必要であることはいうまでもありません。
毎日の仕事で疲れた体を休めるために、休みの日は「寝だめ」をしておく、1日外出せず家でゴロゴロしている、などという過ごし方になりがちです。
しかし、このような方法ではかえって自律神経が乱れてしまい、さらなる刺激へとつながってしまいかねません。
休みの日でも早寝早起きを心がけ、栄養バランスのとれた食事をとるなど、規則正しい生活習慣を守るようにしましょう。
適度な運動をする
運動はストレス発散に最適と言われるように、運動によるストレス軽減は言うまでもありません。
運動を取り入れることで集中力や記憶力が高まる他、心配や落ち込み・固執からも開放されやすくなります。
軽いランニングをしてみる、ジムやヨガに通ってみるなど、運動習慣がない人は体を動かすことを意識してみましょう。
また、ワキガと運動不足というのも実は密接な関係にあります。運動不足でストレスを抱えている状態だと、逆に汗腺に酸素の供給が不十分となってつまりやすくなり、ベトベト汗が出やすくなります。
その結果、アンモニア臭がキツく臭うようになってしまうのです。
反対に、ジョギングなど有酸素運動によって掻く汗はサラサラでニオイがしない汗。つまり、継続的に運動することによって、ニオイのしない汗が出やすくなっていくのです。
ストレスとの上手な付き合い方
人間が生きていれば、何かしらのストレスは必ず掛かります。
問題はストレスを感じたときに、それをどのように自分の中で処理していくかを考えることです。
ストレスとうまく付き合っていくことができれば、それによって自律神経が乱れることも少なくなります。
次のような点について日頃から心がけていくことで、ストレスと上手に付き合っていきましょう。
失敗は前向きにとらえて落ち込みすぎない
誰でも失敗することはあります。失敗したからといっていつまでも悩んだりクヨクヨしたりしていること自体が、大きなストレスとなってしまいます。
失敗の原因を追求することで、次回の失敗を未然に防げるのだと前向きにとらえることが大切です。
失敗から学びを得ることができ、対策案を練ることができたのあれば、そのぶん人は必ず成長しています。つまり、それはもはや失敗ではなく、成長するための糧と前向きに捉えることができるのです。
そのように気持ちを切り替えることで、ストレスを最小限におさえましょう。
自分と他人の比較をやめる
SNSなどの発達により、現代人は自分と他人を容易に比較できる環境にあります。
しかしその結果、他人と比べて自分のほうが劣っているのではないかと感じてしまい、劣等感というストレスに苛まれてしまうのも事実なのです。
必要以上に自分と他人を比較するのをやめ、自分は自分というスタンスで過ごしていくことでストレスの少ない生活を実現できるでしょう。
自分のニオイを気にしすぎない
人からどう思われているかということを気にする傾向が特に強い日本人は自分のニオイについてもかなり気にしています。
そして、自分のニオイが周りに不快感を与えることのないよう気を配っているという人がほとんどです。
けれども、このように自分のニオイへの意識があまりに高くなりすぎるとストレスとなってさらなるわきがへとつながってしまうということはさきほど述べました。
体を清潔に保つ、汗をかいたらふきとる、必要があれば制汗剤なども使用する、などニオイを抑えるために必要な対策を講じたうえで、それ以上にニオイを気にして神経質になりすぎることはやめましょう。
ストレスによってわきがは発症します。ストレスを抱えないようにニオイをコントロールしよう
ストレスによりわきがを発症したり悪化させてしまったりということは十分起こりえます。
しかし、ストレスの解消方法を実践しつつ、ニオイをコントロールしていくことでストレスによるわきがと上手に付き合いながら、少しずつ解消に向けて前進していくことは可能なのです。
ストレスによってわきがになってしまったからといって悲観せず、その原因を知って解消への一歩を踏み出していきましょう。
ここまで、ストレスという視点からわきが解消に向けて書いてきましたが、もっと具体的なわきが対策方法や効果的なわきが対策について詳しく知りたい方は、下記のリンクから他の記事も参考にしてみてください。